世界のブックデザイン 2019-20

毎年恒例の印刷博物館で世界のブックデザイン。今年はCOVID-19の影響で、ゴムの手袋をして実際に手に取れる本が12冊と限られていた。その他の展示本は、見開いた状態で装丁の見どころや特徴がわかるように鏡で映して見せる工夫がしてあった。

American Origamiって黄色い表紙のタイトルからアメリカのレストランのペーパーナプキンを収集したタイポロジーのような作品だろうかと、この本について事前情報を持たず解説文も読まずに手にとって、折りたたまれたページを一枚一枚と見開きながらめくり続けると、どこかアメリカ郊外の風景の写真から手紙や折り紙が現れて、段々と銃乱射事件についてまとめた本だとわかってくる構成になっている。ドキュメンタリー映像でインパクトのあるシーンを見るような感じでもなく、淡々としていて読後感のある写真集になっている。



デザイナーでオランダのハンス・グレメンと写真家でアメリカのアンドレス・ゴンザレスが、メールのやり取りから本の綴じ方を決めていく様子を読むとこれが功を奏している。

Stiftung Buchkunstの世界で最も美しい本の過去受賞作一覧をまとめた中国でのBeauty of booksで選ばれた本が、たとえばブックデザイナーやジャンルなどの項目ごとの索引のように使える辞書のような本だった。これまでの世界のブックデザイン展で何が売れ線なのかのまとめになっていて振り返りやすくて、中国のブックデザインの勢いは前回今回の展示本からも伝わる。

前回のTABFで見かけて気になったハンナダラビの本が昨年はドイツから今年はスイスから再度選ばれていた。ソビエト連邦時代のロシア人Vladislav Mikoshaが撮影した半世紀前の中国の写真をまとめた蘇聯人鏡頭中的新中国という本は展示本で手に取れなかったけど、気になった。



中国の出版物は書影など関連情報をうまく探しづらい感じなのだが、前苏联摄影师眼中1949年的中国 | Vladislav Mikosha_影像_色影无忌にみられるような写真がおさまっているのかな?VLADISLAV MIKOSHA THE TIME MACHINE. COLOR. 1930-1970