目[mé] ただの世界

訪問した日はスカイザバスハウス向かいの住宅がちょうど外装工事中で、そこで作業している人が今回の作品のLife Scaperなのだろうか、これも演出のうちなのか?と帰り際に感じたのだが、それは千葉市美術館の展示をみていたからだろうけど。この展示単体だけだと面白がれるのだろうかと疑問にも思ったり。

スカイザバスハウスの展示物のmatter αと資生堂ギャラリーの展示物のmatter αとはどちらが模倣ものなのなんだろうか。資生堂ギャラリーに違和感なくあった中村竜治の壁にグッときた。

今回の個展には、《Life Scaper》以外にも、同一にしか見えない複数の石や岩を会場に散在させた作品もあった。最初にその中の一つの石を見かけたならば、どこかから持ってこられた自然の石がただ置かれているとしか思わないであろう。しかし、少し離れた場所に、それと同一の石が置かれているのを発見すると、観客はそのことの異常さに驚くにちがいない。自然ではあり得ないことであるからだ。したがって、見分けがつかないほど類似した石が二つあるということは、少なくともそのうちの一つは人工的に作られたものであることを示している。ここでは、《Life Scaper》とは違って、「ドッキリ」の可能性を事前に知らされることはないものの、《Life Scaper》と同様に、二つの石とも、「ドッキリ」(虚構)であるのか、または自然(現実)のものであるか、それを見るだけでは特定することができないのである。

上を向いて忘れよう──「虚実」について:目「ただの世界」展+《まさゆめ》レビュー 現代アートチーム「目[mé]」の2つの展示をレビュー(文:菅原伸也)